Azal biguna, 272 orrialde
Japanese, 日本語 hizkuntza
集英社(e)k argitaratua.
Azal biguna, 272 orrialde
Japanese, 日本語 hizkuntza
集英社(e)k argitaratua.
街に灯った瓦斯灯が、闇夜を照らすようになって数十年あまり。 まだ古き世の名残が尾を引く開明の時代、明治45年。横濱。 「まことの恋」に憧れる女学生の紅の父親が持つ長屋には、いつの頃からか、ひょろりと痩せた京訛りの青年絵師が住みついていた。 紅が幼い頃から長屋に暮らす時川草介というその青年は、幼い頃に神隠しにあったことがあり、そのせいか怪異をみることができるという。 あるとき、紅の許嫁だった好青年・一谷誠一郎が行方不明となってしまった。 誠一郎はとある華族の庭師をしていた。 その屋敷の庭にある化け椿の枝を伐った数日後、庭師道具をもったまま姿を消したので、化け椿の祟りではないかと噂になっていた。 誠一郎を探して手を尽くした紅だったが手がかりを得ることができず、婚約解消の話が持ち出されたことから、一縷の望みをかけて草介に助力を求めたが……?